アカキチノナカデ・・・







夕焼けが酷く赤い
まるでこの辺りの惨状を模倣しているようで
私は涙が出た

あたり一面死体だらけ
男も女も子供らもみんな血を流して骸と化し
そろそろ死臭を放ち始めているものすらある

・・・真っ赤な血が草むらを真紅に染め
やがてそれはどす黒い色へと変化するのでしょう、
まるでこの大地から赤を塗りつぶすように





戦から戻ってみれば
城下はすべて焼け野原だった
人斬りであるはずの己すらも
思わず顔をしかめたくなるような死体の数
火で焼かれて燻っている人型のモノ・・・

そしてふと空を見上げると
夕焼けが赤いのに気付いた
真っ赤に爛れた人間の血の色
だが、
やがて暮れれば
漆黒へと変わり
この惨状を一時忘れさせてくれるだろう





ちらほらと生き残った者達が
辺りの残骸やらなにやらを片付けている

私はつい今しがた救護室から息抜きとばかりにでた所
だけどこんな有り様を見てしまうと
息抜きにもならない
今は少しでも生存者を見つけて介護しなければ

相変わらず手に抱えていた薙刀を改めて握りなおすと
再び城にある救護室へと歩き出した





何をすればよいのか?

辺りを見てそう思った
戦えばよいのか?
だがその答はすぐに打ち消された
とうの負戦
己は死んでも死にきれず
今ここに生き残った
会津の為に敢えてあの人と別れたというのにこの様

・・・これから何をすればよいのですか?

誰も教えてはくれまいと思いながら
ただただ呆然と本陣の城へと歩みを進めた





なんとか道らしいものを辿って城を目指すと
傷を負った残存兵がちらほらと歩いている

「・・・ご苦労さまです。」

そう言葉をかけては会釈をし、夕刻の道を急ぐ
今は涙を浮かべている時ではない
まだやるべきことが残っている

そう自らの心を叱咤し、私は更に歩きつづけた





生き残った仲間と共に本陣を目指す
壊滅した城へ戻ってもただ自分のやるせなさが募るだけ
解ってはいるが歩みは止まらない

何故死なせてくれなかったのです?
何故私を生き延びさせたのです?

心の叫びは虚しく霧散する
だが己はそのまま歩きつづけた





ふと小高い丘に差し掛かると
辺りが開けて真紅の光を真正面から受けた
ふいに高まる押さえきれない激情の波・・・

「私も皆と共に、首を突いて死ねばよかった。」と。

このまま憎き薩長に身も心も汚されるくらいなら
死んだ方がよかったに違いない・・・

あぁ、どうか
この時だけは
涙を見せることをどうか父上許してください―





戦場へ行く時も通り過ぎた小高い丘
ふいに辺り一面差し込む夕日に一瞬目を側め
逃げるように頭を横へ振った

まるで何かから逃げるように―





と、その時
同じようにこの丘に立っている兵を見つけた

背が高く痩躯の男
後ろに影が長く伸び
その風貌が鋭いことを予感させた





と、その時
珍しく女の姿を目にした

手に薙刀を持ち静かに夕日を見つめている
眩しくてよくはわからないが
目元がかすかに光って見えた




美しい・・・



不覚にもそう感じた

血に塗れた服が夕日を一身に浴びて
狂おしい程
美しく感じられた

不謹慎極まりないが
この狂った現実に
己のすべてすらも
いっそ狂ってしまえたらと

・・・そう切実に願った。





だが遠くから聞こえる砲弾の咆哮で
過酷な現実へと引き戻された
まだ降伏せずに戦っているものたちがいるのだろう

はやく城へ戻って
怪我人を介護せねば・・・





何に惑わされていたのだろうか?
遠くの銃撃戦の音が己を正気の世界へと引き戻した

今はもうあれこれ思案するのは辞めだ
ただこの狂った現実を見つめて
時間の流れに身を任せよう・・・





今はまだ
己の運命を知らぬ二人

いつか再び合い見える時
止まりかかった時の流れは―

きっと再び流れ始めるだろう










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会津戦争です。
よくわかんないのに書いたので、お目汚しです><
白虎隊の悲劇だとか、女子供まで戦ったとかまるで某アラブ系国みたいな状態だったそうで・・・

まるでここが?という半ば現実とは認識できないような場所で、偶然男と女がすれ違う。
どこかオカシクなった心は、お互いを酷く美しいと思う。

ただそれだけです。
言葉も交わさないし、ただふと目線を交わしただけ。

しかし至極美しい光景。

了(てかお前のあたまが了だろ?)
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