儚夢 激流



京都を去ったのちの新撰組はただただ消滅への道を辿っていた。
鳥羽富士見での戦を境に北へ北へと敗走を重ねた。
艦隊での山崎水葬、勝沼敗走、流山での近藤の死、江戸での永倉原田との別れ、・・・
みなばらばらになり、そして―

俺も会津にて土方と別れた。
ひたすら戦況建て直しの為にも蝦夷へ向かうことを主張した土方と
会津に恩を返す為に残るといった俺の意見が食い違ったのだ。
遊撃隊の伊庭などはそのまま土方へとついていき、
その後俺について来た島田も戦況を見て土方の後を追うようにして蝦夷へ向かっていった。

そして如来堂にて。
所詮剣が銃撃にかなうわけも無く、血みどろになって傷ついた片腕を抑えながら
そのまま敵中へと突撃して行き・・・

ドンッッッ―


その後、会津戦争の戦死者名簿にその男の名前が刻まれたという。
「新撰組三番隊組長斎藤一、如来堂にて戦死」と―







目がさめた。
酷い汗をかいていて、誰かに殺されたような恐怖に支配されるが
「早く起きなさい!あんた旅行いかないのつもりかい!」
という母親の声で我に帰った。
―あ、今日は旅行だったわ
慌てて飛び起きて制服をき、荷物を抱えて一階へと駆け下りた。
一瞬誰かが止めるような気がしたが、たいして気にもとめずそのまま朝食をとって家を出た。


電車に乗り、窓の景色を追う。
総武線に乗り御茶ノ水を通り過ぎると、ふいにまた何かもやもやとした
気持ちに駆られた。
通勤ラッシュの中、塾へと通う子供たちが停車駅で降りていく。
勿論中には母親連れの子供もいて・・・

「・・・上はいつも不意打ちばかりで卑怯です。」

?????

また声が聞こえた。
誰かが何か俺に話し掛けてきたのか?
思わずあたりを見渡したが、声の主らしき子供は見当たらない。
―今日はどうもなんか俺変だわ。
どうも何か昨日酷く嫌な夢を見た気がするからか、調子の狂うような
ことが感じがしていたが、それを不思議と編だとも感じずに、そのまま電車に揺られて
東京駅の新幹線ホームへと向かった。



誰かがそんな男子学生を見ている。
長い髪を揺らしたその女は隣の友人らしき人物になにかいうと
そのまま電車へと乗り込んだ。
その目は、ただまっすぐに男子学生を見つめて・・・。

―もうあんな思いはしないように、こんどは最初から他人でいましょう・・・

少し寂しそうにはにかみながら笑うと、その女はゆっくり人の渦へまぎれていった。